マザーズハローワーク設立の経緯

マザーズハローワークはどのようにして生まれたのか

マザーズハローワークは出生率の低下による人口の減少や、団塊世代の大量退職によって労働人口が減ってしまうという危機感から、他に活用できる労働者はいないかと探した結果、出産・育児で退職した女性に白羽の矢が立てられ「女性の再チャレンジ支援プラン」の一環として作られました。

作られたといっても一から作られたものではなく、もともと子育てと就職の両立を支援するという目標で全国の政令指定都市に12箇所あった両立支援ハローワークの業務内容、設備の変更を行ったものです。2006年度予算として12億を概算要求し、予算9億円が認められました。3ヶ月以内で就職、年間3,000人を目標としています。

両立支援ハローワークからマザーズハローワークへの変更点としては、各マザーズハローワークに求人開拓専門の「子育て支援連携推進員」が2人ずつ配置され、利用するたびに担当者が変わっていたのが、最初に受け付けた職員が就職できるまで対応する担当制になります。そのため職業相談をしたい場合は予約制となりました。また、おもちゃやぬいぐるみなどが置かれたキッズコーナーや授乳室、おむつを変えるためのベットなどが新しく設置されました。職員の多くが女性ですが、この点は両立支援ハローワークのときからかもしれません。

 

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それでも変わらない問題点

失業給付の手続きがある場合は相変わらずハローワークにいかなければならない、両立支援ハローワークで対象としたはずの子育てと仕事の両立を目指す「男性」の存在を忘れてはいないか(マスコミの報道は全て「子どもがいる女性のための」になってしまっています)など気になる点がいくつかありますが子どもを連れて行っても他の人に気兼ねしなくていいので、行動がなかなか自由にとれなかった方にとっては心待ちにしていた「設備」だと思います。

しかし、根本的な問題は何も解決していません。

社内に託児所があったり、男女問わず育児休暇を自由にとることができたり、日々の勤務形態を簡単に変えられる会社というのは、ごくほんの一部であり、かつハローワークに求人をあまりださない資本力がある大きな企業の場合が多いのです。仮にあったとしても、社員を本当に必要な人材と考えている会社であれば、出産・育児で一時的に休職してもあとで復帰できるような制度・雰囲気にしているはずであり、そのような会社は出産・育児での退職者がもともと少ないので余分な人員を雇う数も期間も当然少ないでしょう。

このことからわかるように厚生労働省が掲げている

(4)希望やニーズを踏まえた求人の確保
関係機関等から仕事と子育ての両立支援に熱心に取り組んでいる事業所等に関する情報提供を受け、求人開拓により求人を確保します。また、就職を希望される方の希望やニーズに適合する求人がない場合には、その方の希望や適性に沿った個別の求人開拓を実施します。

という項目は目標であって達成するつもりはないように思えます。

また、前半の文章のしめを「確保する」、後半の文章のしめを「実施する」とトーンを変えているところにも本音が見え隠れします。もともと仕事と子育ての両立支援に熱心に取り組んでいる事業所の場合は「求人の確保」が比較的容易でしょうし、希望やニーズに適合する求人がない場合には「求人開拓を実施する」と書いておけば求人開拓をただ実施すればいいだけで求人を確保できなくても良いという論理がなりたち、うまくいかなかった時の為にあらかじめ言い訳を用意しているように見えます。

よってマザーズハローワーク利用者の大部分に残されている可能性は今までと変わらず、子育ての一部を犠牲にして就職先を選ぶか子育てを犠牲にしないかわりに不利な雇用条件の就職先を選ぶの二択しか残されていません。(もちろん、これらの私の分析・予測がはずれていれば良いことは言うまでもありません。)

レディースハローワーク→両立支援ハローワーク→マザーズハローワークと「対象と名前」を変えて生き残りを図ってきたわけですが結局の所、とりあえず要望がありそうなのでやってみたというだけで利用者の要望に答えられていません。(要望に答えられていないという点ではハローワークも同じですが。)本来であれば授乳室などの設備は両立支援ハローワークができた時点で備え付けなければならなかったものです。

子どもがいる方にとって利用しやすい設備になったことで、そのことに関しては利用者の評価が高くなることは間違いありません。それに応じて今後人員や箇所が増やされる可能性は高いでしょう。

参考資料

子育てをしながら就職を希望する方に対してきめ細かな就職支援を行う「マザーズハローワーク」がオープンします! | 厚生労働省

 

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