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なぜハローワークから嘘の求人がなくならないのか

ハローワークの求人票の内容を元に求人に応募しても、面接のときに口頭や、契約の際に提示される
雇用契約書もしくは労働条件通知書で求人票よりも低い雇用条件を提示されたり、いざ働いてみると
労働内容が求人票の内容と違うことがあります。

求人票の記載内容と実際の労働条件が異なる場合に申し出できるハローワーク求人ホットラインには、
平成27年度は10,937件、平成28年度は9,299件が寄せられており、電話番号が有料でかつ03で始まる
東京圏なので固定電話だど地方からは高すぎて利用できないこと、わざわざ報告してくれる人がどれだけ
いるのかということを合わせて考えると実際はもっと多くの嘘の求人が存在していると考えられます。


そもそも求人票の内容が正しいかどうか調査をしていない

ハローワークの職員が求人を窓口で受け付ける際に行っているのは、提出された求人票の雇用条件などに
記入漏れがないかの確認と、記入されている内容に間違いがないかを質問するだけです。その後に内容が
正しいかどうかの調査は全く行われませんので、企業側はいくらでも嘘の雇用条件を記入して求人を出す
ことができます。寄せられる求人数に対してそれに関わる職員が圧倒的に少ないため物理的に何かするのは
難しいという側面もあります。


ハローワーク自体が企業に求人をお願いしている

ハローワークは厚生労働省の求人数を増やすという方針に従い、企業を訪問して採用が決まっていない求人の
募集期間の延長や新規の求人をお願いしています。これにより割に合わない雇用条件の求人がいつまでも残って
仕事を探す邪魔となったり、本来採用する気がないのにも関わらず今後のハローワークとのつきあいを考えて
求人を出し、応募して来た人を面接で全て落とすと言ったことが起こってしまいます。さらにハローワークが
企業に求人を出すことをお願いしている立場なので、求人票の内容を厳しく精査することが出来なくなって
しまっています。


求人票の内容がデタラメでも、その企業に罰則がない

職業紹介や労働者供給の規則を定めた職業安定法の第65条および8項において
(引用)
次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を
行つた者又はこれらに従事した者
(引用)
と罰則が定められていますが、これは嘘の雇用条件の仕事を斡旋した紹介会社に対する罰則であって、
嘘の雇用条件を提示した当の企業に罰則はありません。

また、労働条件の最低基準を定めた労働基準法では、
(引用)
第15条第1項
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
第120条
次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
第120条第1項
第十四条、第十五条第一項若しくは第三項、(途中省略)の規定に違反した者
(引用)
と定められているのですが、この第15条の第1項で「労働契約の締結に際し」とされているのが非常に厄介で
「募集段階」のハローワークの求人票に、この法律を適用するが困難となってしまっています。


虚偽の求人を出す企業に対する罰則化の動き

そのような中、平成28年6月3日に行われた厚生労働省の職業安定局の「雇用仲介事業等の在り方に関する
検討会」で虚偽の労働条件で求人を出した企業に罰則を科すことが適当とするなどの報告書が取りまとめられ
ました。この報告書を基に国会や厚生労働省の職業安定分科会での審議を経て、平成29年3月31日に
「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。施行されるのは、平成30年1月1日からとなります。
これにより求人票に記載された労働条件と、実際の労働条件が異なる場合には契約前に明示する義務が
付け加えられ、さらに虚偽の内容でハローワークに求人の申し込みを行った企業が罰則の対象となります。


懸念される問題点

ただしこの法律だと実際の労働条件が求人票と異なっていても契約前に明示さえすれば良いとも受けとれる
ので契約前に労働条件が異なることを明示していないにも関わらず、嘘の求人を出した企業が明示したと
言い張って水掛け論になった場合、虚偽の内容でハローワークに求人の申し込みを行ったとして罪を問う
ことができるだろうかという懸念は残ります。全てをハローワークがやってくれるのならまだいいのですが、
求職活動中の失業者がしなければならないとなった場合、大きな負担とならないか心配です。



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